特徴

高岡市は砺波平野の北西部に位置する。そこを流れる庄川の伏流水と「山田錦」や富山の酒造好適米「五百万石」などを使用して造られる。平均精米の歩合は、北陸三県でもっとも高いとされる。造り手はわずか5人。量産をしない、アイテムは増やさないとのポリシーは「真のぜいたくを知る酒」といわれるゆえんである。

一口飲んだだけで、日本酒本来の香り、うまみ、さっぱりした味わいが層をなす。「純米吟醸」であっても、「大吟醸」といってもいいほどの飲み口である。

歴史

日露戦争から帰還した初代の清都慶介が明治39年(1906年)に開業、戦勝を記念して勝駒と命名した。「富山でいちばん小さな造り酒や」をモットーに、地元高岡の銘酒として親しまれてきた。近年では全国にファンを広げつつある。今年は開業から100年というエポックメーキングな年でもあり、小さな酒蔵の力があらためて見直されることになるだろう。

第1回富山の酒フェア会場では蔵元のご主人が立っておられた。「大吟醸」「純米吟醸」の2種のみの出品に自信のほどが感じられる。たんたんと試飲グラスに注いでくれるときに、目の奥にやさしさをたたえているのが印象的だった。


ちょっと立ち寄り


第1回富山の酒フェア会場の入口では、錫製のぐい呑み、片口、そして漆や陶胎(とうたい)の酒器に目を止めた人も多いだろう。いずれも高岡発。錫器は日本酒にもっとも適しているとされ、日本酒を愛する方にはぜひ試していただきたいもの。漆器も高岡の特産品。陶胎とは陶器に漆を塗ったもので、いわゆる漆器よりも陶器のごつごつとした手触りが秘められていて風情がある。

高岡は銅や錫の産地だ。彫刻家の池田満寿夫さんがかつてこの地を訪れたときに勝駒を飲んで、たいへん気に入ったという。現在ラベルに使用されている勝駒の文字は池田さんが書いたものである。

ちょっと文学

うらうらに 照れる春日に ひばりあがり 情(こころ)悲しも 独りし思へば

高岡市ゆかりの歌人といえば、最古の和歌集『万葉集』の編さん者としても知られる大伴家持(おおとものやかもち)で、8世紀にこの地に地方官として赴任していた。家持のお父さんが大伴旅人という「酒飲みの歌人」の元祖だが、それはおいおい紹介するとして、家持自身の歌を紹介しよう。

「春愁」と呼ばれるものの一つ。


いかにも春らしく、ひばりが飛んでいる田園風景。そんな春の日にひとりでいると、どういうわけか悲しくなってくる。理由なんて野暮なことは言うまい。

孤独を知る人は、誰かとお酒を酌みかわしたときの喜びをいっそう知るにちがいない。

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